問題行動科
そもそも問題行動とは飼い主や周囲の人間にとって困るような行動と、動物自身の健康を損なう行動とがあります。前者には、動物にとっては正常行動だが、飼い主および飼育環境にそぐわない場合のことであり、無駄吠えや排泄問題、マーキング、マウンティングなどが含まれます。後者は、常同障害や雷恐怖症、分離不安症などが含まれます。
一部の先天的要因(犬種・性別・個性など)を除いて多くの問題行動は後天的要因(飼育環境・経験・しつけなど)が関与していると思われます。
成年期以降の性格や行動を左右するものとして社会化期(生後~4,5か月頃までの間)の過ごし方が特に重要であるといわれています。当院では、この社会化期により多くの良い経験をしてもらうためにパピークラスの開催をいたしております。
常同障害
常同障害とは不安症の1つと考えられており、人の強迫性障害に類似するトラブルと考えられています。動物では、前肢の一部をずっと舐め続ける行動(肢端舐性皮膚炎)や、尾を追い続ける(尾追い)、ネコでは布を舐め続ける行動や自分の腹部などをグルーミングし続けるなどの症状がみられることが多い。
治療は重症例には薬物治療もおこないますが、必ず、行動修正法と環境改善も同時に行う必要があります。改善には非常に多くの時間を要し、症状が安定してもその後も薬がはなせない例もあります。