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一般外科

  • 呼吸器外科(軟口蓋過長症、膿胸、気胸、横隔膜ヘルニア、腫瘍など)
  • 消化器外科(胃・腸内異物、会陰ヘルニア、直腸脱、肝・脾臓腫瘤切除、腫瘍など)
  • 泌尿器・生殖器外科(尿路結石、子宮蓄膿症、膣脱・膣過形成、前立腺膿瘍・嚢胞、潜在精巣、半陰陽、腫瘍など)
  • 乳腺外科(乳腺過形成、乳腺腫瘍など)
  • 皮膚・目・耳の外科(外傷、皮膚皮弁、皮膚移植、断尾、チェリーアイ、角膜潰瘍、耳血腫、腫瘍など)
  • 内視鏡検査など

尿路結石

腎臓から尿道までの部位に結石が存在している状態。結石の形成原因はまだ不明な点もあるが、細菌感染により尿のPHがアルカリに傾いたり、逆に酸性に傾きすぎたり、尿中のミネラル成分が増加したり、水分摂取量が少なく尿が濃くなりすぎたりすることによって形成されると考えられている。
結石成分としては、犬、猫ともにリン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)、シュウ酸カルシウムの2つが最も多いが、尿酸アンモニウム、シスチン、リン酸カルシウム、シリカなどといった結石もある。


ストルバイト結石

シリカ

小さなストルバイト結石では、結石溶解用の処方食や尿路感染の治療を徹底することで溶解可能な場合もあるが、その他の結石では外科的に摘出する必要がある。


膀胱結石

尿道結石

尿路結石は非常に再発しやすい病気であるため、再発予防が最も大切である。そのためには十分な水分摂取(水飲み場を増やす・ドライフードをウェットフードに切り替えるなど)、結石の成分ごとに推奨されている食事管理および薬物療法を行う。
また猫では、トイレの数を増やしたり、常に清潔にして快適に排尿できるよう工夫をしたりすることも再発予防になるとされている。

直腸脱

直腸脱とは、肛門から直腸粘膜が反転脱出してしまうことで、あらゆる年齢においても発生するが、幼若動物の内部寄生虫や腸炎などによる下痢(いきみ、しぶり)がみられるときに多く起こる。組織の損傷、浮腫が少ない急性のものでは、手指等で脱出を戻し、肛門をゆるく縫合することで整復可能である。しかし、脱出が整復できない場合や損傷が激しい場合は、腸の切除が必要となる。

猫の直腸脱・整復前(浮腫は激しいが、損傷は少ない)
整復後(温生食で洗浄、指・プローブを用いて整復、軟便が通過できるぐらいの巾着縫合)

会陰ヘルニア

会陰ヘルニアとは、直腸を支持する筋肉群が委縮、分離し、直腸や骨盤腔および腹腔内臓器がその筋肉間(ヘルニア孔(輪))から会陰部皮下に脱出した状態である。
会陰ヘルニアは、中~高齢の未去勢の雄犬で小型犬または中型犬に多発する。
また、会陰部付近の筋肉は尾の運動との関連性があることから、断尾をされた犬種には筋肉の委縮が発生しやすくウェルシュ・コーギーやボストンテリアといった断尾されている犬種およびミニチュア・ダックスフンドなどの尾の運動性が低い犬種もまた好発犬種とされている。
多くは、肛門部の腫脹や排便障害(便秘や下痢)のために来院されるが、ときには膀胱が反転して脱出したことで排尿障害となり尿毒症を発症させたり、腸の絞扼によるショック状態で来院されることもある。
治療は、内科治療としては排便障害を解消あるいは予防するために、緩下剤、便軟化剤、食事管理、浣腸、および手指による便のかき出しを定期的に行うといった対症療法になるが、あくまでも外科的治療な困難な場合(麻酔リスクが高い場合)のみに検討されるべきである。
外科的会陰ヘルニア整復術はさまざまな手術手技が報告、また改良がされている。
基本法としてのヘルニア孔周囲の筋肉の縫縮術や内閉鎖筋転位術、半腱様筋転位術、浅臀筋転位術、総鞘膜を使用した整復術、ポリプロピレンメッシュなどの人工材料を使用した整復術などを単独または組み合わせて整復する。
一方で会陰ヘルニアの整復術はいずれの手術手技においても100%再発がないものはこの疾患の特性上、存在しないことも事実である。


整復前(左側会陰ヘルニアで腫脹)

術後(2週間後抜糸時)

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、細菌感染による炎症から子宮内に膿が貯留する疾患で高齢犬での発症が多い。発情出血後2~3か月頃の黄体退行期に発症するため、発情出血がおさまった直後にまた出血(正しくは排膿)がはじまったという稟告で来院されるケースも多い。
一般的な症状は、食欲不振、発熱、元気がない、水を多く飲む、嘔吐などがあるが、病気の進行状況によっては細菌によるエンドトキシンショック、敗血症を呈して救急状態で来院される場合もある。
診断は、未避妊高齢雌犬、特徴的な排膿(血膿)、発情出血からの発症までの時間経過、超音波検査などをもとに診断される。
治療は、抗菌剤の投与および黄体退行作用をもつプロスタグランジンF2α(PG)の投与を行う内科治療はあるが、PG投与には副作用が伴うことが多いことや、次回の発情時に再発が高確率で起こること、100%の治癒率ではないことなどから、一般的には外科的に卵巣・子宮全摘出術を行うことが最善な方法であると思われる。


蓄膿により腫大した子宮

猫の子宮蓄膿症(犬に比べ珍しい)