一般内科
糖尿病
犬、猫において糖尿病はごくごく一般的な内分泌疾患であるが、その発生原因や病態は大きく異なる。
犬の場合はほとんどすべての症例で何らかの理由によりインスリン分泌能が疲弊し、最終的には機能不全に陥る。そのため治療にはインスリン投与が一生涯必要になります。
食事は肥満症例をのぞいて、適正な犬用総合栄養食を理想体重にあわせて与えてもらうことで十分であると思われます。
それに対して猫の場合は人の2型糖尿病に近い病態であるとされ、肥満や生活習慣などとの強い関連性がみとめられます。そのためインスリン投与とともに食事管理が必要となります。症例によっては食事管理によりインスリン投与から離脱できる猫も少数ながら存在します。
症状としてよく水を飲むようになった、おしっこが多くなった、ダイエットをしていないのに体重が減ってきたなどがあれば要注意です。簡単な血液検査と尿検査で診断ができます。
膵炎
人と同様、犬や猫においても膵炎は存在する。ただし犬と猫では膵炎のタイプが少し異なっています。
まず犬は、急性膵炎という状態がほとんどで、激しい腹痛、嘔吐を主症状とすることが多い。原因は高脂肪食の摂取、高脂血症、無分別な食事管理および遺伝的素因が発生要因とされています。
一方、猫の症状は何となく食欲がない、時々嘔吐がみられるといった不明瞭なことが多く、慢性膵炎といった状態がほとんどである。現在も確定診断が難しい病気の1つだが、血液検査の方法が確立する以前はその多くが見逃されていたと考えられている。
犬で突然の激しい嘔吐がみられたとき、猫で何となく食欲がないといったときは膵炎を疑って検査をしてみてもよいかもしれません。
猫の甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、10歳以上のシニア猫に多発する疾患で日本を含め先進国を中心に急に発症率が高まっています。
原因としては、キャットフードの普及や飼育環境の変化による猫の長寿化と診断技術の向上が要因として考えられています。
症状としては、食欲低下を伴わない(むしろ多食の場合も多い)体重減少、年齢の割に元気すぎる・急に攻撃的になったなどの行動の変化、時よりみられる下痢や嘔吐といった一見すると病気とは思わず見逃されてしまうような症状が多い。
ただし、放置すると全身高血圧症により腎不全や眼底出血、脳神経症状を引き起こす危険がある。猫の甲状腺機能亢進症は適切な治療(投薬や専用処方食の給餌)を行うと長期間良好なQOL(生活の質)を保つことができるため、シニアをむかえた猫には1年に1回以上の血液検査をすることをお勧めします。