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歯科・口腔内外科

すべての動物は口腔で食物を体内に取り入れて生命を維持しています。
元々は獲物を捕らえ、咀嚼し、またはお互いグルーミングしたり、舐めあったりしコミュニケーションの手段としての役割も持っていました。しかし、飼育されている動物はそういった機会がほとんどなく、ペットの現代病ともいえる歯周病が多くみられるようになりました。
以下に、代表的な口腔内トラブルを示します。

歯周病

現在では、3歳以上の80%がかかっているとされる。歯垢中の細菌が原因で歯肉が赤く腫れ、それに伴い口臭が強くなり進行すると歯肉より出血をみとめ、歯がぐらつき、ついには歯が抜けてしまう場合もあります。
予防には、歯垢歯石が歯面に付着しないように歯みがきを中心としたデンタルホームケアを行うことが重要である。

歯垢、歯石が重度に付着している(出血も認められる)
 
歯石除去後(歯肉が退縮し歯根が露出している。ここまでくると抜歯が必要となる)
 
歯垢、歯石に接していた頬の粘膜にもびらん、出血が見られる
後臼歯に付着した歯垢、歯石除去前 除去後
犬歯に付着した歯垢、歯石除去前 除去後
後臼歯の内側に付着した歯石
(無麻酔では確認、除去はほぼ不可能)
歯槽膿漏から頬部皮膚に壊死脱落がみられた猫
 

乳歯遺残

犬、猫は人と同様乳歯から永久歯に生えかわる二生歯性で、約6~7か月齢で生えかわるとされています。7か月齢を過ぎても乳歯が残っているものを乳歯遺残といい、小型犬で比較的よく認められる。
乳歯が遺残すると正常な咬合とならず(不正咬合)、ときには口腔粘膜にあたってしまったり、また、永久歯と乳歯の間には歯垢、歯石が蓄積しやすく歯周病になってしまうことが多い。そのため、原則として適正時期が過ぎても乳歯が残っている場合には、早期に抜歯する必要があります。

上顎犬歯乳歯遺残 乳歯と永久歯の間に歯垢、歯石がみられる
抜歯前 抜歯後
上顎犬歯乳歯遺残
抜歯前 抜歯後
下顎犬歯乳歯遺残
抜歯前 抜歯後

口腔内腫瘍

口腔内に発生する腫瘍には良性のものも存在するが、悪性黒色腫(悪性メラノーマ)、扁平上皮癌、繊維肉腫などの悪性腫瘍も多く認められる。
口腔内腫瘍が口の中に発生すると、症状として口からの出血、口臭、痛み、開口・閉口障害、流涎(よだれ)などが認められる。

上顎に認められた悪性黒色腫
下顎に認められた悪性黒色腫
腫瘍が巨大化し、前臼歯が変位しているのがわかる
歯石の除去時、偶然発見された扁桃扁平上皮癌
線維性歯肉種(良性。線維性過形成とも呼ばれる)